ミニマリストの小宇宙

ミニマリストの小宇宙

minimalist's microcosm

エッセイ

コーヒーは冷めていく過程を楽しむものである

「コーヒーというのは、冷めていく過程を楽しむものだよ」 店はあか抜けないが、すこぶる美味いコーヒーを出す喫茶店だった。 わたしは熱いコーヒーが好きだ。 冷めたコーヒーなんて飲む気がしない。 酒も煙草もやらないわたしの唯一の嗜好品が、熱いコーヒ…

ポーランドの鯉

わたしがまだ小さい頃、庭の池には鯉がいて、だからわたしには鯉は特別な生き物だった。人間以外ではいちばん身近な生き物。そしていちばん遠い生き物。絶対的な他者。水のなかに、別の世界にいる。彼らと目が合うことはない。わたしは別の世界を上から眺め…

父と雀

その日は朝から騒がしかった。 強い風に建物が揺さぶられるような振動。 激しい羽音。 部屋の中に何かいる。 考えたくはなかったが、そうとしか思えなかった。 ロフトは死角になっているから、そこに鳥か何かが飛んでいるのだろうか? 窓は閉めていたから、…

冷え性アピールの女

「自称冷え性」の人が少し苦手である。 冷え性であることは辛いだろうし責めるつもりははい。そうではなくて、「わたし冷え性なのー」ってアピールしてくる人。他人がどれくらい冷えを感じているか知りようがないというのに、どうして自分は人よりも冷えやす…

捨てて後悔したものは何もない/人は後悔を重ねて生きていく

捨てて後悔したものは何もない あー、あれ捨てなきゃよかったなー、なんて後悔することもあるかもしれませんが、長い目でみればたいしたことないです。 そういうときは、「これは10年後にも重要な問題だろうか?」と考えるといいですよ。何かの本で読みまし…

みかんの皮とふきのとう

幼い頃、はじめて憧れた「大人」は、みかんの皮をきれいに剥いた。 私のは皮がつながらずボロボロと細かくちぎれた。 どんなにがんばっても、その人のようにひとつなぎに剥くことができない。 大人になったら、できるようになるのだろう。 当時の私にとって…

7万円の服を買ってクラクラしている

訃報を聞いて真っ先に思うことが、香典はいくら包めばいいだろう、であったのはおそらく恥ずべきことなのだろう。 故人は私にとって会社の上司にあたる。 私は、故人にはお世話になったと思う。 しかし悲しみはまだ感じることができないでいる。 訃報は突然…

物流の20年。「サン宝石」から「Amazon Prime Now」まで

半日ちょっとでAmazonから荷物が届く社会は狂っている - シロクマの屑籠 私と同世代の女性は、「サン宝石」をご存知の方も多いだろう。初めて「通信販売で買物をする」という経験をしたのは小学生のときだ。まだネットショッピングなどというものはなかった…