ミニマリストの小宇宙

ミニマリストの小宇宙

minimalist's microcosm

7万円の服を買ってクラクラしている

 

f:id:astudyinscarlet:20160305232113j:plain

 

訃報を聞いて真っ先に思うことが、香典はいくら包めばいいだろう、であったのはおそらく恥ずべきことなのだろう。

 

故人は私にとって会社の上司にあたる。

私は、故人にはお世話になったと思う。

しかし悲しみはまだ感じることができないでいる。

訃報は突然ではあったが、驚きはなかった。故人は長いこと病床に臥しており、回復が難しいことは私にもわかっていた。

 

会社帰りに大型チェーンのスーツ店を訪れた。私は喪服を持っていない。

こちらの商品がお若い方向けになっておりますー、お姉さんなら、襟がないタイプの方がお似合いになると思いますよー、こちらか、こちらですねー、サイズは5号ですねー、あ、鏡見てみます? どうぞどうぞ。数珠なんかはお持ちですか? あ、はい、そちらが無難でよろしいかと。バッグは20%オフにしておきますねー、普段スーツ着られます? 今キャンペーンやってまして、あ、スーツは着られない、そうですか、じゃあ必要ないですねー、ネックレスなんかはよろしいですか? あ、そうですか、そうですよねー、靴は・・・

 

なんだかよくわからないまま6万円の喪服を買った。会計は7万円を超え、手持ちがないのでカードで払った。

考えてみれば、こんなに高い服は買ったことがない。高いものでもせいぜい3万ぐらいだ。

店舗でのカード払いというのもめったにしない。

カードを使うときはいつも、何か不具合が起きるんじゃないかとドキドキしてしまう。今まで不具合が起きたことなど一度もないのだが。

 

家についても落ち着かない。考えることが多すぎるのだろう。

 

故人のこと、死のこと、生きること、

これから迎えるたくさんの訃報。

今日遅れた分の仕事。

来月のカード引き落とし額。

いつか訪れる自分の死。

明日の通夜には、何時に向かえばいいだろう。

 

今朝見たばかりの、故人の姿を思い出す。

きれいに化粧をして、ピンクの着物を着ていた。

こんなに小さかったかな。

正直に、正直に申し上げれば私は故人のことが苦手であった。

それでも、その姿を見たときには、すこしこみ上げるものがあった。