人生を変えた一冊の本。一本の映画。
どんなに本を読んでも何も変わらない私はただ羨むばかりだ。
本を読んだくらいで変わるものか。
そんなに素直じゃない。
そんなに純粋じゃない。
本なんかいくら読んだって、どんなすばらしい映画を見たって、外国に行ってみたって、けっきょく同じ。刺激はすぐに褪せる。
だから、ブログを読んだくらいで、人生が変わるはずはなかった。
いいなと思っているブログがある。
考え方も、書き方も、とても心地いい。
言葉の端々に共感する。共通点も多い。もっとも、共通していない点はもっと多いのだろう。
好意ゆえ、共通点に目がいくだけの話だ。
少しずつ、真似をしてみる。穏やかでいる。掃除をする。料理をする。文章を書く。
少しずつ、いろんなことが変わっていく。
生活が変わった。
習慣が変わった。
考え方が変わった。
食べるものが変わった。
家族への意識が変わった。
書くことの意味が変わった。
毎日が変わった。
仕事や住む場所は何も変わっていないのだから、人生を変えたなんていうのは大袈裟だろうか?
でも、毎日が変わったのだから、人生が変わったのと同じことだ。
いい大人を見ると、若さへの執着がなくなる。年をとるのが楽しみになる。
以前より少しだけ謙虚になった。とにかく面倒なことは嫌で自由でいたかったのが、自分のことしか考えていなかったのが、「ちゃんとした大人になりたい」なんて思うようになった。
いい記事を読んでも、たいていは翌日どころか次の瞬間にはもう忘れている。そういうものだ。昨日自分が食べたものさえ覚えていないのに、一度目にしただけの他人の言葉を心に刻むなんてことはそう容易くない。
だけどこの人の言葉は残る。強く主張したりしない。流れるように自然に本質を突いてくるから、ハッとさせられる。私は言葉が前に出る。聞いて欲しくて必死に主張する。だから自分の書く記事にわかりやすい結論を欲しがるし、その結論に都合の悪い部分は切り捨てることもある。
でも、本当は正しい答えがないことや割り切れないことのほうがきっと多いんだと思う。大人になればなるほど、そういうことは増えていくんだと思う。このブログには、過程とか断片とか、そういうものがちゃんと残っていて、だからすごく共感するし考えさせられる。
生き物の気配がする。自然や植物や記憶やいろんな生き物が生活の中に生きていて、命や生きることをとても身近に感じる。尊く感じる。
コメントをしてみようかとも思うが、何て言ったらいいかわからない。
「いつも楽しみにしています」
そんなつまらないことは言いたくない。
ありがとうございます、なんて言ってほしいわけじゃない。
うまく言えないが、そういうことがしたいわけではないのだ。
やっぱりコメントは控える。
そのエネルギーは、自分のブログに向かっていると思う。
最近は記事をよく書く。
本でも映画でもなく、ブログであることの意味は大きい。
本はずっと変わらないけど、ブログは昨日と同じではない。
成長していく。変わっていく。毎日刺激がある。
だから私も毎日考える。
誰かのブログが誰かの毎日を変えているかもしれない。
それはあなたのブログかもしれない。
それは私のブログかもしれない。
私の毎日を変えたのは、A'sさんのブログです。