ミニマリストの小宇宙

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ミニマリストの小宇宙

minimalist's microcosm

いつも同じ服で通勤しても案外気付かれない

ファッション

 

同じ職場の男性が、いつも同じ服を着ていることが判明した。

わたしは毎日その人を見ているはずなのだが、これまで全く気が付いていなかった。

 

「S君って、いつも同じ服だよね?」

上司の指摘を受けたS君は、黒のパンツに水色のシャツ、青のニットを着ていた。ちなみに彼は20代で、どちらかというと服装には気を使っているタイプである。

わたしは彼のこれまでの服装を思い出そうとした。が、いくら考えてみても、今見ている服以外の服を思い出すことが出来なかった。たしかに彼はいつも同じ服を着ていたのだ。あまりにも見慣れてしまったせいか、毎日同じ服でも何の違和感もなかった。 

わたしが彼に特別な感情でも持っていようものなら話は違っていたかもしれないが、毎日会っていても案外気がつかないものだ。きっと上司はS君のことをかわいがっているから気がついたのだろう。関係性、親密さの問題である。 

 

S君は同じパンツを6本持っているのだという。詳しくは聞かなかったが、きっとシャツとニットも同じものを持っているのだろう。 

「なんで同じ服なの?」

上司にしてみれば当然の疑問である。その服がそんなに好きなのか、考えるのが面倒なのか、はたまた、スティーブ・ジョブズにあこがれているのか。

S君は理由を語ろうとはせず、上司の「お前はジョブズか!」という台詞でその場は流れた。 

 

S君の服なんて気にしたこともなかったのだが、こういう会話を聞いてしまったから、つい見てしまう。今日もS君は同じ服を着ている。 

 

わたしは彼の私生活に特段の興味があるわけでもないが、6枚というのはきっと週末に洗濯をするのだろう、などと余計な想像をしている。 

さらには、指摘されるたび、同じ服をたくさん持っているんです、ということを毎回説明するのも面倒だろうなあとか、何も言われないかわりに「あの人いつも同じ服だわ。洗濯してるのかしら」なんて思われるのもやっかいだよなあ、なんて、おせっかいとしか言いようのないことまで考えている。 

毎日コーディネートを考えるのは面倒かもしれないが、たいして親しくもない人からこんなふうに思われるほうが余程面倒である。

わたしなら、 全部同じにはしない。他人の目線など気にしないという方法もあるが、人に訝しがられてまでどうしても同じ服が着たいとも思わない。

彼はなにかポリシーがあって同じ服を着ているのかもしれない。本当にどうでもよければ、わざわざ同じ服を揃えたりしないだろう。あるものを適当に着れば良いのだから。

できることなら服のことなどで悩みたくはないのだが、こういうことがあるので、やはり多少は気にしたほうが良いのだろうと思う。