ミニマリストの小宇宙

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minimalist's microcosm

又吉直樹『劇場』と、「読むとモノを捨てたくなる本」

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又吉直樹さんの「劇場」を読みました。

 

 

「恋愛小説」という触れ込みだったのでちょっと躊躇していたのですが、ある人の感想をきっかけに手に取りました。

主人公は売れない劇作家。「恋愛小説」というより「青春小説」という印象でした。

 

電子版がなかったため本屋で買い求めましたが、

最近は古い作品ばかり読んでいるので本屋でハードカバーの新刊を買ったのは久しぶりです。

 

そういえば、「この作家の新刊が出たらチェックする」という感覚を久しく失っていたような気がします。

少し前までは、新刊や新譜をチェックする贔屓の作家やアーティストがいましたが、今は「特定の人を追いかける」ということをしなくなってしまいました。

わたしが現在贔屓にしている作家はみな故人で、新刊が出ることはありません。

特に又吉さんのファンというつもりはありませんでしたが、自分の生きている時代に新刊が出るということをなんとなくうれしく感じました。

 

「劇場」も「火花」と同じく、自伝的な要素が強い作品です。

これから読む方のために詳しくは書きませんが、「東京百景」という彼のエッセイに描かれているのと同じシーンがいくつか見られます。

(これは「火花」でも同様で、「火花」と「東京百景」には全く同じ台詞が出てきます)

 

「東京百景」は、又吉直樹さんの本の中でも突出して印象に残っています。

 

 

この本を読むと、何もかも捨ててしまいたくなります。

何かモノを捨てるような話があるわけではないのですが、物質的なものが色あせていくというか、とてもつまらないものに感じられるのです。

厭世とは違うのですが、それなりに気に入っていたはずの持ち物さえも陳腐に感じられて、

「何もかも捨ててしまいたい」ような、身一つの状態からもう一度世界を捉え直してみたいような衝動にかられます。

 

 

「東京百景」は特に顕著だったのですが、どんな本でも、本を読むことにはそれだけで物欲を減退させる効果があると思っています。

わたしにとって、ですが、掃除や断捨離のことを書いた自己啓発本や、素敵な写真の載ったライフスタイル本よりも、

一見なんの関係もないように見える小説やエッセイの方に、その効果を強く感じます。