ミニマリストの小宇宙

ミニマリストの小宇宙

minimalist's microcosm

あえて「モノ」で買うもの、その理由。

 

かつて新しい音楽は、銀色の円盤によってもたらされた。

あの頃オレンジレンジが好きだと言っていた彼女らは今何を聞いているのだろう

 

 

CDは、一度すべて手放しました。

すべてのCDを手放した

「感銘を受けた本」は手放していい

 

 

本については、これまでも電子書籍を利用することがありましたが、最近は音楽についてもデータで買うことを覚えました。「その曲だけ聞きたい」場合には、「データで1曲だけ購入する」というのが向いています。

CDレンタルを利用したこともありましたが、あまり詳しくないアーティストの場合、どれを借りたらよいのか分からなかったり、借りて帰ってPCに取り込んでお店に返しに行って、ということを考えると、データで購入する方が気軽で、自分には合っていました。

 

それでも、今でもCDを買うことがあります。

 

「データで買う」ということは、今はまだ、完全に「モノを媒介とせず情報だけ手に入れる」という形にはなっていなくて、「CDという商品の中の、音だけ買う」という形になっています。アートワークや歌詞やクレジットは、データで買うと見られません。これは本でも同様で、電子書籍には「あとがき」がついていません(これにはいろいろな事情があるのですが)。装丁や紙質やフォントなども、本の世界観を構成する要素ですが、電子書籍の場合もまた「本という商品の中の本編の文章だけ買う」という形になっているのです。もちろんそれで十分な場合もありますが、それでは物足りない場合もあります。

 

 

最近買ったCD。

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講談師・神田松之丞の初CD。

松之丞 講談 -シブラク名演集-

松之丞 講談 -シブラク名演集-

 

 

講談が好きとか詳しいわけではありませんが、わからないなりにも面白くて、引き込まれます。 

こちらは歌詞があるわけではないので、データで購入しても良かったのですが、CDで買ってみようという気分になりました。

こうしてCDが出るということ自体、公式の音源を残すという大事なことであり、「この時代に若手の講談師の講談のCDが出る」ということもとても興味深いことだと思います。

 

ブックレットにあった松之丞の言葉がとても印象的でした。

 

33歳の神田松之丞を楽しんでください。

 

実際にはもっと長いのですが、このひとことだけで十分でした。

これからますます変化、あるいは進化していく彼の、33歳の「今」の記録。

「松之丞のCD発売」は講談界・伝統芸能界の歴史、そして彼個人の歴史としてとても意味のあることで、それを支持する意味でも買ってよかったと思えました。

 

 

もう一枚は、ジャズドミュニスターズの2ndアルバム。

Cupid & Bataille, Dirty Microphone

Cupid & Bataille, Dirty Microphone

 

 

「2日で3000枚を完売した」と歌われる前作(3000枚のうち1枚はわたしの手元にありました)が2013年だったことに驚きました。

 

このアルバムについて話しだすと長くなるのでひとつだけ。

「口の中の小鳥たち」というリリックはおそらくこの本から。

 

 

手放した3冊の本。厳選した本も永遠ではない - ミニマリストの小宇宙

 

 

いずれ手放すのなら、はじめからデータで購入する方がスマートだし、価格も安いです。

それでも、あえてCDを買う場合がある。

歌詞やその他を含んだ完全な商品として消費するため。

アーティストへの支持を表明するため。

目に見えない「音楽」に対して、実感を得るため。 

 

CDを買うということは「ファン的な消費の仕方」であると思いますが、

同時に、それだけではない何かも感じています。

 

CDは古びるためにあるのかもしれない。そう簡単には古びない「音楽」の代わりに、形ある、古びるものとして。

あの頃オレンジレンジが好きだと言っていた彼女らは今何を聞いているのだろう

 

 

CDも本と同じで、ずっと持っておくわけではなく、満足したら手放します。

 

音楽が素晴らしいのは永遠で、CDが新しいのは今だけ。

わたしは「新しいCDを買う」という行為によって、「新しさ」を実感したいのかもしれません。

 

だからこそ、あえてCDで買うことはしても、ずっと持っておく必要は感じていないのだと思います。