minimalist's microcosm

ミニマリストの小宇宙

恋について

 

 

 

恋

  • アーティスト:星野 源
  • 出版社/メーカー: Speedstar
  • 発売日: 2018/12/19
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

恋するに値する人間なんていないから、だから「恋」が必要なんだ、

という話を友人にして

何言ってんの、みたいな顔をされたのは大学生の時だった

 

それまで

片思いと妥協の交際としかしたことのない私が

初めて

「誰かから好意の感情を向けられる」ということを経験したのがその頃で

 

その相手は

今となっては懐かしいmixiという媒体に

私のことを思って苦しい、という趣旨の内容を

私にだけわかる書き方で綴っていた

 

 

私なんかを好きで苦しんでいるなんて

ちょっと信じられなかったが

考えてみれば自分だって散々苦しんできたのだし

それが普遍的な恋の苦しみなのだとすれば

その人の苦しみだって自然で仕方のないことなのかもしれない

 

そして

「どうして私なんか、そんないいものでもないのに」

ということを考えるうちに

 

私が好きだったあの人も

もしかすると全然たいしたことない人なのかもしれない

 

と思い至って

 

ああそういうことか、

恋はそういうことか、

 

なんか悟ったような気になったのだ

 

 

ある程度大人になると

そういう好意というのはたいてい関係の延長上にあって

あまり関わりのない相手を一方的に好きになるということはなくなった

しなくなったというよりできなくなったのかもしれない

それは

多くを知らない相手に勝手な憧れや幻想を抱くようなことをしなくなったからかもしれないし

ただ単に傷つきたくない自己防衛なのかもしれない

 

どちらにしても

もうそういうことはしなくなったので

片思いも

それに伴う苦しさも

過去のものとなっていた

 

 

 

 

 

会社の後輩から好意を寄せられているらしいことを知った

 

どうして私なんか、と思うけど

仕方ないよな

 

彼の目に

私がどう映っているのか

彼の中で

私がどれほど美化されているのかわからないが

 

私のどんな欠点も

目に入らないか

かえって好ましいかなんだよな

 

だって好きになっちゃったら

しょうがないよな

 

 

 

丁重にお断りしたメールの返信には

 

わかってたのに、ごめんなさい

 

とあった

 

 

わかってたって、

それで簡単に割り切れたりしないよな

それってすごく

苦しいよな

 

 

私なんかを好きになってくれた人を

自分の言葉で傷つけなければいけないなんて

 

どうしてこんな残酷なことが起こるのだろう

 

 

振られる辛さなら人並みに知っているつもりだけれど

 

断るのがこんなに辛いなんて

知らなかった

 

 

いつも振られる側の私は

 

なんであんたが泣いてんの、

ずるい、

ていうか、

意味わかんない、

 

って思ってた

 

自分の辛さでいっぱいで

相手の辛さなんて

そんなものがあるだなんて

考えもしなかった

 

 

自分も同じ立場になってようやく

 

ああそういうことか、

断るってこういうことか、

思い知った

 

 

 

恋なんか事故みたいなもので

一度好きになったら

その人がその好意に値するかどうかなんて

もう関係ない

 

だからせめて

私を好きになったことを後悔しないでいいように

その好意を受けるのにふさわしい人でいられるように

生きていかなければと思います