「整理収納アドバイザー」を名乗る人物から電話があった。
近々独立開業するので仕事をくれないかという無差別営業だった。
丁重にお断りしたものの、その電話が少し気になっていた。
整理収納アドバイザー。
おそらく整理収納のアドバイスをするのだろう。
調べてみると、「整理収納アドバイザーのプロの技術でこんなにすっきりキレイに片付く」といったようなビフォーアフターの写真が見つかった。
しかし、どうもそれが「キレイ」に見えない。
よく言っても「普通」だ。「ビフォー」があまりにも汚いから、相対的になんとかキレイに見えている。
ビフォーアフターの写真は作り物というか、ある種のフィクションかもしれないが。
これは逆に言うと、たとえプロが収納したとしても、汚い写真と比較しないと「すっきり」とは感じられない、ということだ。
「すっきりキレイに片付ける」というのはプロをもってしても難しいらしい。
余計なお世話と思いつつ、整理収納したそれらのモノは本当にすべて必要なものなのだろうかと疑ってしまう。
わたしだって人のことなど言えないが、それらのモノとは何の関係もない他人だからこそ余計にそう思うのだ。
この職業が「整理収納士」とか「整理収納家」とかではなく、「整理収納アドバイザー」という名前であることはけっこう大事なポイントではないかと思う。
なるほどたしかに整理収納のプロかもしれないが、代わりに片づけてくれるわけではないのだ。
整理収納というのは生活と密接に関わっている。
その部屋で生活をするのは自分だ。
自分の人生を他人に生きてもらうことはできない。
整理収納というのはどうしたって本人の仕事なのである。
整理収納の前にまず不用品を捨てることが必要だと思うが、それだって本人の仕事だ。
自分にとって何が必要か、他人に判断してもらうことはできない。
何が必要で何が不要なのかの判断は、
たとえこんまり先生がお家に来てくれたとしても、自分自身でやらねばならないのだ。