最近読んだ本に
とても大きな気づきをもらった
Kindle Unlimitedで
なんとなく目について読んだ本だ
ものすごく期待して読んだわけではないが
それでも
ライターというのは
手作り作品の販売などの副業よりも
自分に向いているという思いがあったし
簡単にできるのならやってみてもいいなという下心も持っていた
ところが読んでみると
全くわくわくできない
好きなことを好きな場所でして
自分らしく自由に生きられる
という成功例の再現性が疑わしく
現実味が持てないからではない
もしそれが実現しても
自分が幸せだとは思えなかったからだ
おそらく私は「ライティングスキル」にあまり興味が持てない
これは自分にとって意外なことだった
さらによく考えてみると
そもそももう「スキル」というものに興味がないのかもしれない
そんな気さえしてくる
スキルを褒められてもたぶん嬉しいと思えないのだ
商品ごとの特徴がきちんとまとめられてわかりやすい文章ですね
と言われるより
自分が考えたこととかものの見方とかの独自性を褒められる方がよっぽど嬉しい
AとBとCの違いを説明して
Aがおすすめである根拠をそれらしく並べるより
じつは世の中にはAかBかCだけじゃなくてDもあるし、A+BとかB×Cっていう考え方もあるし、何も選ばないのもひとつの選択だし、これから全く新しいEを作ってもいいし、そもそもAが1番良いというのはこういう価値観の現れではないのか、というようなことを考える方が楽しい
これまでうまく認識できなかった領域を言語化して伝えられることはそれ自体が大きな喜びだし
それに対して誰かの共感の言葉が得られたりすると
欲求が満たされる感じがする
いいねの数みたいな表面上の承認欲求ではなくて
ちゃんと「自分の本当に欲しいものが満たされた」という感じがするのだ
文章のスキルではなく中身
伝えようとしている内容を重視したい
ライターの場合
中身は依頼されたものになるから
中身を褒められてもそれは自分とは全く関係がない
そうやって考えていくと
ライターの仕事が運良くうまくいったとしても
自分の望みは叶わないということに
思い至ってしまった
好きを仕事にと言われるが
私が好きなのは自分で考えること、自分の考えを書くことであって
誰かの思惑や希望条件を満たす文章を書いて納品することではない
それは仕事としては比較的楽しい部類に入るのかもしれないが
「好きを仕事に」という言葉から想像するほど魅力的なものではない
働きながら
さらにすきま時間に案件をこなして月数万円の副収入みたいなことは
自分の望む人生ではないし
不安定な本業にして
生活のためモノやサービスを売る文章を書くことに追われるのはもっと嫌だ
そもそもフリーランスというのは本当に自由なのだろうか
私など案件を受ける過程で発生するメールのやりとりを考えただけで憂鬱だ
やりたいことがたくさんある
本を読みたい
読んで考えたい
考えたことを書きたい
もっとぴったりの言葉がないか推敲したい
私はこういうことに時間を使いたい
誰かのセールスのための文章を書くスキルを磨くより
自分の考えを言語化して納得したい
そのための時間が欲しい
スキルアップという名目を免罪符に
ライティングのバイトなどしている場合ではない
自分の好きなことを好きに書くといっても
それだってスキルは必要だろうが
一般的に言われるライティングスキルとは少し違うような気がする
セールスライティングはおそらくAIができるようになるだろう
それも、タイプ別の購買層に向けて最適化した文章を提供できるようになるかもしれない
下手したら
ひとりひとりのために微調整してくる可能性だってあるのだ
それとは対照的に
ある人がどう感じどう思っているのかということを
AIが書くことはきっと難しい
そもそも感じるとか考えるといったことは
身体性を持たないAIにとってとても難しいのだ
これからのライティングは
スキルより
むしろこういう部分にこそ光明があるのではないだろうか
全人類に伝わるライティングスキル、と聞けばたしかに魅力的な感じがするが
そもそも私は自分の書くものを全人類に伝えたいとは思ってない
私が書くのは極めて個人的な考えで
陳腐な表現になってしまうが
「大勢に伝わる」ことよりも
「誰かに刺さる」ことを想定している
書きたいから書く、と言いつつ
ブログというオープンな場所を選んでいる理由も
結局のところ
自分の書いたものが
誰かの「まだ触れられていない領域」を刺すかもしれないという
淡い希望だったりするのだ
きっと私はライターにはなれないだろう
私にとって書くということは
自分の欲求を満たすための行為で
それはどこまでも
身勝手に行いたいことだから
astudyinscarlet.hatenablog.com
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